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行動とは?
[ 110] 講座・サイコセラピー2 行動療法
[引用サイト] http://www.nichibun.co.jp/book/NBbooks/ISBN4-8210-6140-6.html
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教育現場・職場・家庭・地域社会などの日常生活において、様々な形で頻発する心の問題を解決へ導く行動療法。最新の知見を加え、多くの身近な治療例を取り上げながら、分かりやすく解説。 東京文理科大学心理学科卒。群馬大学助教授、東京教育大学教授、筑波大学教授を歴任。筑波大学名誉教授、日本学術会議会員。医学博士。 子育てに全力投球している母親の行動を見ていると,まさに行動療法そのものという観がある。励ます,ほめる,叱る,注意するなどは,わが子をよくするための意図的行為で,オペラント的方法(本書第6,7,9章)であるし,愛情のほとばしりから,声をかける,抱き上げてやるなどの行動は,子どもの心や体の成長に欠くことのできない大切な心理的栄養剤で,レスポンデント的方法(第2,3,4,5,8章)と直結している。外には現われないが,母親の頭の中でも同じことは認知的方法(第8,9,10,11章)として日夜進行している。一般社会人の場合も同じことで,職務に全力投球する社員の行動は,オペラント原理によるところが大きいし,スポーツ,レジャー,休養はレスポンデント原理に適っている。認知的学習(判断,推理,記憶など)が彼らの仕事の大きな部分を占めていることはいうまでもない。教育活動の世界でも全く同じことがいえる。 にもかかわらず,行動療法が従来あまり話題にならず,学問的体系としての成立も,また,その後の展開も,少なくともわが国においては,大幅に立ち遅れたのには,いくつかの原因が考えられる。第1に,人間の行動はどのような原理・法則にもとづいて行われているかについて,個々の,あるいは微視的な研究は,心理学や社会学,人類学,生理学などの諸学のレベルで盛んに行われていたにもかかわらず,これらの原理・法則を,不安神経症,吃音,精神遅滞,生きる悩みなど,現実生活での問題の解決に役立てようとする気運,意欲,着想が不十分であった。第2に,行動療法に対して,冷酷,機械的,人間の心情無視,動物扱いなどの誤解もあった。人間の問題の取り扱いには,ヒューマニズムや無意識,自我を前面に押し立てないとなじみにくいとする意見もこれに輪をかけた。 本書は,これらの視点を踏まえて,行動療法が特定の人々のための特殊な学問体系ではなく,教育,職場,家庭,地域社会などでの日常生活から発生する問題を解決し,すべての人々の明るい生活や,子どもの望ましい発達をめざすための重要な方法であるということに重点を置いて執筆した。そのために,難解な学習理論は必要最小限にとどめたが,同時に,個々の技法の解説では,理論的根拠をはっきりさせて,問題解決のための指導・臨床実践,治療が誤りなく行われるよう配慮した。総論としての第1章以外の各章に,すべて具体的なケースを付したのも同じ理由によるものである。 本書の構成としては,第1章を総論として行動療法とは何かを紹介し,第2章以下はレスポンデント領域(第2〜5章),オペラント領域(第6〜7章),コグニティブ領域(第8〜11章)の3種とした。複雑な人間の機能に根ざす問題は,実際にはこのように単純に分けることはできないが,一応,学習理論の立場からこのように分類してみた次第である。特に,最近,注目を浴びている認知行動療法は,その種類も多くなり,また,内容も複雑多岐にわたるようになってきたので,これをレスポンデント系(第8章),オペラント系(第9章)のほかに,種々の方法・原理の混成体ともいうべき諸方法をハイブリッド系(第10章)としてまとめてみた。 行動療法で用いられる多くの方法を一層具体化,実際化,明確化するための方法として,本書では比較的多くのケースを収載した。掲載をご快諾いただき,本書の活性化にご貢献いただいた関係各位に深甚の謝意を表する次第である。 著者が前著「行動療法」を世に問うてからすでに15年以上が過ぎた。その間,社会も大きく変わったが,行動療法の世界も飛躍的な進歩を遂げた。本書がそれを確実に映し出していることを心から願うものである。 |
